交通事故は他人事ではありません
平成19年には、83万2454件もの事故が発生し、5744人の方が亡くなられているほか、103万4445人もの方が負傷されています。いつあなたが被害者になってもおかしくないのです。
保険会社との交渉には専門家が必要です
交通事故に遭った場合、加害者が任意保険に加入していれば、保険会社が被害弁償の窓口となります。保険会社は交通事故の専門家なのに対し、被害者の方は交通事故に関する知識をお持ちでないことが普通です。
このように知識の差があるまま交渉に臨むと、保険会社から「逸失利益」(用語集参照)など初めて聞くという言葉を聞かされて理解できないまま話が進んでしまったり、「計算の結果、逸失利益は~円になりました。」(何をいくら損害賠償請求できるのか?参照)と言われて反論できないまま和解に応じてしまうということになりかねません。
また、慰謝料などの金額については裁判上ある程度の相場が存在しますが、保険会社は当然弁償額を抑えようとするので、その相場からはかけ離れた金額を提示してくることがほとんどです。
これらの事態に対処するためには、被害者の方も交通事故の専門家を代理人として交渉することが必要です。
弁護士であれば、交渉はもちろん、交渉が決裂した場合に裁判を起こす場合であっても代理人として活動することができます。
時効に注意
交通事故による損害賠償請求権は、被害者が、「加害者および損害」を知ったときから3年、知らない場合は事故のときから20年で消滅してしまいます(民法724条)。
具体的には、①物損については事故時から、②治療費・休業損害についてはそれが発生したときから、③後遺症については、症状固定時から時効期間が進行します。
損害賠償請求権が時効消滅してしまうまえに手を打つ必要があります。
1、加害者の運転免許証を確認し、住所・氏名・本籍をメモする。
本籍をメモしておけば、戸籍により住民票を後で追うことができます。住所は、住民票に基づき記載されていますが、転居してから5年間の保存期間を過ぎるととれなくなりますので、本籍もメモしておく必要があるのです。
2、車検証を確認する。
そこには、自動車の所有者および使用者が記載されています。自賠法により、加害車両の保有者も損害賠償義務を負担するので、損害賠償を請求する相手を確定するため、確認する必要があるのです。
4、警察への連絡
警察により実況見分が行われると、後日の明確な証拠になります。また、警察により人身事故扱いにしなければ、後で保険金がおりないことになります。その場で示談せず、必ず警察を呼ぶようにしましょう。
5、運転者の名刺をもらう。なければ会社名、連絡先(携帯電話も)をメモする。
会社の業務上の運転途中の事故であれば、勤務先会社も損害賠償責任を負担します。請求の相手方に加えることができるかもしれません。また、保険に加入していないような場合、運転者の給料を差し押さえるなどの手段しかない場合があるため、勤務先を聞いておく必要があります。
6、目撃者の確保。氏名、住所、連絡先をメモする。できれば、その場で証言を録音、文書化。
交通事故では、後で運転者が言い分を翻し、責任を被害者になすりつけてくる場合がとても多くあります。したがって、目撃者を確保しておく必要があります。
(2)付添看護費
入院に際し、親族等が付き添って看護している場合。又は、ヘルパー等の職業付添人を利用する場合。
医師の指示があった場合、又は、受傷の程度、被害者の年齢等によって、必要があると認められれば、職業付添人の場合は実費全額、親族の場合は、相場として1日あたり6500円程度が認められる傾向。
※通院については、小さい子供が事故にあった場合等、通院に親が付き添うことが必要と認められる場合は、1日につき相場として3、300円程度が認められることがある。
(4)交通費
原則として、公共交通機関を利用した場合に必要となる金額であり、マイカー利用の場合は、実費相当額。タクシー利用の場合、タクシー利用が必要かつ相当と認定できれば、タクシー費用も認められることがある。
3、休業損害
典型例としては、事故によって1か月仕事を休まざるを得なかった場合に、1か月分の給料相当額を損害として請求できる、というもの。
専業主婦の場合、自営業の場合、失業中の場合、学生の場合等、よく保険会社との間で問題となる。
(1)後遺障害に伴う逸失利益
ア 算定式
基礎収入(A) × 労働能力喪失率(B) × 中間利息控除(C)
イ 費目の説明
A 基礎収入=給与所得者の場合は、事故前に実際に得ていた収入。
但し、現実収入額以上の収入がえられる立証があれば、その金額をもって基礎収入とする。
当時学生である等、将来の収入が算定できない場合は、賃金センサス(厚生労働省において毎年作成されている、賃金に関する統計)を使用する。
B 労働能力喪失率=後遺障害の程度によって、どの程度働く能力を失ったか、という数値。
後遺障害の程度により、1級から14級まであり、1級から3級であれば100パーセント、4級だと92パーセント、という形で定型化されている。
後遺障害等級の認定は、損害保険料率算出機構がおこなう。なお、症状がこれ以上改善しないと判断されることを、症状固定という。
C 中間利息控除
逸失利益の損害賠償は、将来手にするであろう収入を、計算して一括して受け取るものである。
つまり、症状固定時から就労可能年限(一般に、67歳とする例が多い)までの逸失利益が1億円であると仮定した場合、本来であれば、数十年掛けて1億円稼ぐはずのものを、一括して、すぐに受け取る、ということになる。
仮に、その1億円を就労可能年限の数十年後まで銀行等に預けて運用とすれば、数十年後にはその分の利息が付加されることになる。
そこで、「数十年後に1億円にするためには、賠償の時点でいくら賠償すればよいか」という観点から、調整を行う。これが中間利息控除である。
(2)死亡に伴う逸失利益
ア 算定式
基礎収入(A)×{1-生活費控除率(D)}×中間利息控除(C)
イ 費目の説明
A~Cは(1)と同じ。
D 生活費控除率
死亡の場合は、これ以上労働できないことが明らかであるため、労働能力は常に100パーセント喪失している。
他方、死亡したことによって、死亡後、就労可能年限までの間に消費する予定であった生活費の支出を免れることになる。そのため、収入から一定割合を、生活費分として控除する。
被扶養者の数等により、一律で算出される傾向にある(被扶養者1名=40%等)。
(2)傷害の場合
入通院慰謝料(入院、通院を余儀なくされたことに伴う慰謝料)と、後遺障害慰謝料(後遺障害を負ったまま今後の人生を歩まざるをえなくなったことに伴う慰謝料)がある。
前者については、入通院期間等から、入院1か月・通院1か月の場合は77万円、後者については、後遺障害等級1級なら2800万円、といったように、ある程度の相場がある。
*上記の相場とは異なり、事故前後で収入の減少がない場合等、逸失利益が認めがたい場合に、慰謝料を増額することで調整する例もある。
6、物損
(1)修理費
(2)評価損(修理しても外観等に欠陥が生じ、商品価値が下落した場合に認められる)
(3)代車手数料(修理完了までレンタカー等を使用した場合、一定の限度で認められる)
※物損に慰謝料は認めない。
(1)損益相殺
事故によって被害者が利益をも得た場合、公平な損害の分担の観点から、上記損害賠償から、上記利益を控除すること。
控除した例:遺族厚生年金、傷病手当金等
控除しない例:生命保険金、見舞金、香典等




