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債務整理

法の上限超すが罰則ない「灰色金利」、最高裁が実質否定

朝日新聞社 www.asahi.com 2006年01月14日
http://www.asahi.com/national/update/0113/TKY200601130355.html

利息制限法の上限を超えるが刑事罰に問われない「グレーゾーン金利」をめぐり、最高裁第二小法廷(中川了滋裁判長)は13日、その高金利が例外的に 有効とされる条件を極めて狭める判決を出した。貸金業規制法は「借り手の自由な意思で任意に払ったこと」などを条件にしているが、判決は「明らかな強制だ けでなく、事実上の強制があった場合も、上限を超えた分の利息の支払いは無効だ」とする初判断を示した。消費者金融や商工ローンのほとんどはグレーゾーン 金利で貸し付けているのが実情で、業界は業務の抜本的な見直しを迫られる。
第二小法廷はこうした判断を踏まえて、ローン契約で一般的な「分割返済の期日までに利息を支払わなければ、直ちに一括返済を求める」との特約について、 「期日通りに約束した利息を支払わないと残った元本をすぐ一括して支払わなければならないうえ、遅延損害金も支払う義務を負うことになるという誤解を与 え、上限を超える利息の支払いを事実上強制している」と指摘。上限を超えた利息も払わなければならないとした二審判決を破棄し、審理を広島高裁に差し戻し た。
また、返済の度に債務者に渡さなければならない受領証について、貸金業規制法が債務者がどの借金を返しているのか分かるように、契約日や金額を書くことを 求めているのに対し、内閣府令が契約番号だけでいいとしていることについても、内閣府令を無効とする初判断を示した。
消費者金融や商工ローンのほとんどはグレーゾーン金利で貸し付けているのが実情。同様の特約は確実に利息の支払いを求める方法として広く使われている。今 回の判決によれば、こうした特約などを用いてグレーゾーン金利で貸し付けることはできなくなる。
今回問題となったのは、大手消費者金融「アイフル」グループのローン会社「シティズ」(京都市)が00年、鳥取県の男性に年29%の利息で300万円を貸 した契約。返済が滞ったため提訴したシティズ側は「借り手は自分の意思で契約に応じ、上限を超える利息も任意に支払った」と主張。年29%で計算し、未払 い分約189万円の返済などを求めた。一方、男性側は「利息を任意に払ったとは言えない」などとして法定利息で計算し直し、残高は約109万円だと主張し た。
最高裁は04年2月、本来無効であるグレーゾーン金利が有効と認められる例外について「厳格に解釈すべきだ」との判断を示し、以後、例外が認められる範囲 を段階的に狭めてきた。
多重債務者問題などに取り組む弁護士グループによると、消費者金融や商工ローンの利用者は全国で2000万人に上るとも言われる。貸金業規制法は今年、見 直しが予定されている。貸金業界には金利の上限の撤廃や緩和を求める声も強く、業界への参画をはかる外資も政界などへの働きかけを強めている。司法が打ち 出した「借り手保護」の立場をいかに立法に反映させるかが今後の課題となる。
〈キーワード・グレーゾーン金利〉 利息制限法の上限を超える利息は本来無効だが、出資法で刑事罰が科せられるのは年29.2%を超える高金利。この中間のグレーゾーン金利について、貸金業 規制法は(1)返済期間や回数などを明示する(2)弁済の都度ただちに受領証を出す(3)任意の支払いである――の3要件を満たせば有効とみなすという例 外を認めている。

利息制限法の超過金利、支払いは原則無効・最高裁が初判断

日経新聞社 NiKKEI.NET 平成18年1月13日
http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20060114AT1G1303213012006.html

利息制限法の上限を超える高金利で自営業者に融資したアイフル子会社の商工ローン、シティズ(京都市)が、返済が滞った場合に残額の一括返済を求め る特約に基づき自営業者と連帯保証人に支払いを求めた訴訟の上告審判決が13日、最高裁第2小法廷(中川了滋裁判長)であった。同小法廷は「上限を超える 金利について、事実上強制されて支払った場合、特段の事情がない限り、無効」とする初判断を示した。
そのうえで、自営業者側に一括返済を命じた2審・広島高裁松江支部判決を破棄し、「特段の事情」があったかどうかについて、さらに審理を尽くす必要がある として、同高裁に差し戻した。消費者金融会社などの多くは、ローンの分割返済契約にこの特約を設けており、一括返済を求められた借り手が返済に窮するなど トラブルが多発している。上限金利を超える金利の受け取りに高いハードルを課した司法判断は、借り手保護に寄与しそうだ。

最高裁判決 判例

平成18年1月13日 第二小法廷判決 平成16年(受)第1518号 貸金請求事件

要旨:
1 貸金業法施行規則15条2項の法適合性
2 債務者が利息制限法所定の制限を超える約定利息の支払を遅滞したときには当然に期限の 利益を喪失する旨の特約の効力
3 債務者が利息制限法所定の制限を超える約定利息の支払を遅滞したときには当然に期限の 利益を喪失する旨の特約の下での制限超過部分の支払の任意性の有 無
内容: 件名 貸金請求事件 (最高裁判所 平成16年(受)第1518号 平成18年01月13日 第二小法廷判決 破棄差戻し)
原審 広島高等裁判所松江支部 (平成16年(ネ)第30号)
主 文
原判決を破棄する。
本件を広島高等裁判所に差し戻す。
理 由
第1 事案の概要
1 原審の確定した事実関係の概要は,次のとおりである。
(1) 被上告人は,貸金業の規制等に関する法律(以下「法」という。)3条所定の登録を受けた貸金業者である。
(2) 被上告人は,平成12年7月6日,上告人Y1に対し,300万円を,次の約定で貸し付け(以下「本件貸付け」という。),上告人Y2は,同日,被上告人に 対し,上告人Y1の本件貸付けに係る債務について連帯保証をした。
ア 利息 年29%(年365日の日割計算)
イ 遅延損害金 年29.2%(年365日の日割計算)
ウ 返済方法 平成12年8月から平成17年7月まで毎月20日に60回にわたって元金5万円ずつを経過利息と共に支払う。
エ 特約 上告人Y1は,元金又は利息の支払を遅滞したときには,当然に期限の利益を失い,被上告人に対して直ちに元利金を一時に支払う(以下「本件期限 の利益喪失特約」という。)。
(3) 被上告人は,本件貸付けに係る契約を締結した際に,上告人Y1に対し,「貸付及び保証契約説明書」及び「償還表」と題する書面を交付した。
貸付及び保証契約説明書には,利息の利率を利息制限法1条1項所定の制限利率を超える年29%とする約定が記載された後に,本件期限の利益喪失特約につ き,「元金又は利息の支払いを遅滞したとき(中略)は催告の手続きを要せずして期限の利益を失い直ちに元利金を一時に支払います。」と記載され,期限後に 支払うべき遅延損害金の利率を同法4条1項所定の制限利率を超える年29.2%とする約定が記載されていた。
(4) 上告人Y1は,被上告人に対し,本件貸付けに係る債務の弁済として,第1審判決別紙元利金計算書の「入金日」欄記載の各年月日に「入金額」欄記載 の各金額を支払った(以下,これらの各支払を「本件各弁済」と総称する。)。
被上告人は,上告人Y1に対し,本件各弁済の都度,直ちに「領収書兼利用明細書」と題する書面(以下「本件各受取証書」という。)を交付した。
本件各受取証書には,貸金業の規制等に関する法律施行規則(昭和58年大蔵省令第40号。以下「施行規則」という。)15条2項に基づき,法18条1項2 号所定の契約年月日の記載に代えて,契約番号が記載されていた。
2 本件は,被上告人が,本件各弁済には法43条1項又は3項の規定が適用されるから,利息制限法1条1項又は4条1項に定める利息又は賠償額の予定の制 限額を超える部分の支払も有効な債務の弁済とみなされるなどと主張して,上告人らに対し,本件貸付けの残元本189万4369円及び遅延損害金の支払を求 める事案である。
3 原審は,本件各弁済には法43条1項又は3項の規定が適用されるとして,被上告人の請求を全部認容すべきものとした。
第2 上告代理人山口利明の上告受理申立て理由二(1)について
後記第4の2(2)のとおり,本件期限の利益喪失特約のうち,上告人Y1が支払期日に利息制限法1条1項所定の利息の制限額(以下,単に「利息の制限額」 という。)を超える部分(以下「制限超過部分」という。)の支払を怠った場合に期限の利益を喪失するとする部分は無効であり,上告人Y1は,支払期日に約 定の元本及び利息の制限額を支払いさえすれば,期限の利益を喪失することはなく,支払期日に約定の元本又は利息の制限額の支払を怠った場合に限り,期限の 利益を喪失するものと解するのが相当である。
しかしながら,法17条1項が,貸金業者につき,貸付けに係る契約を締結したときに,同項各号に掲げる事項についてその契約の内容を明らかにする書面をそ の相手方に対して交付すべき義務を定めた趣旨は,貸付けに係る合意の内容を相手方に正確に知らしめることによって,後日になって当事者間にその内容をめ ぐって紛争が発生するのを防止することにあると解される。したがって,法17条1項及びその委任に基づき定められた施行規則13条1項は,飽くまでも当事 者が合意した内容を正確に記載することを要求しているものと解するのが相当であり,当該合意が法律の解釈適用によって無効又は一部無効となる場合について も同様と解される。
そうすると,上告人Y1と被上告人が合意した本件期限の利益喪失特約の内容を正確に記載している貸付及び保証契約説明書は,法17条1項8号(平成12年 法律第112号による改正前のもの),施行規則13条1項1号ヌ(平成12年総理府令第148号による改正前のもの)所定の「期限の利益の喪失の定めがあ るときは,その旨及びその内容」の記載に欠けるところはないというべきである。
以上と同旨の原審の判断は正当として是認することができる。論旨は採用することができない。
第3 同二(2)について
1 原審の判断は,次のとおりである。
施行規則15条2項は,貸金業者は,法18条1項の規定により交付すべき書面を作成するときは,当該弁済を受けた債権に係る貸付けの契約を契約番号その他 により明示することをもって,同項2号所定の契約年月日の記載に代えることができる旨規定しているのであり,契約年月日の記載がなくとも,契約番号の記載 により,弁済を受けた債権に係る貸付けの契約を特定するのに不足することはないから,契約年月日の記載に代えて契約番号が記載された本件各受取証書は,法 18条1項所定の事項の記載に欠けるところはない。
2 しかしながら,原審の上記判断は是認することができない。その理由は,次のとおりである。
(1) 法18条1項が,貸金業者は,貸付けの契約に基づく債権の全部又は一部について弁済を受けたときは,同項各号に掲げる事項を記載した書面を当該弁 済をした者に交付しなければならない旨を定めているのは,貸金業者の業務の適正な運営を確保し,資金需要者等の利益の保護を図るためであるから,同項の解 釈にあたっては,文理を離れて緩やかな解釈をすることは許されないというべきである。
同項柱書きは,「貸金業者は,貸付けの契約に基づく債権の全部又は一部について弁済を受けたときは,その都度,直ちに,内閣府令で定めるところにより,次 の各号に掲げる事項を記載した書面を当該弁済をした者に交付しなければならない。」と規定している。そして,同項6号に,「前各号に掲げるもののほか,内 閣府令で定める事項」が掲げられている。
同項は,その文理に照らすと,同項の規定に基づき貸金業者が貸付けの契約に基づく債権の全部又は一部について弁済を受けたときに当該弁済をした者に対して 交付すべき書面(以下「18条書面」という。)の記載事項は,同項1号から5号までに掲げる事項(以下「法定事項」という。)及び法定事項に追加して内閣 府令(法施行当時は大蔵省令。後に,総理府令・大蔵省令,総理府令,内閣府令と順次改められた。)で定める事項であることを規定するとともに,18条書面 の交付方法の定めについて内閣府令に委任することを規定したものと解される。したがって,18条書面の記載事項について,内閣府令により他の事項の記載を もって法定事項の記載に代えることは許されないものというべきである。
(2) 上記内閣府令に該当する施行規則15条2項は,「貸金業者は,法第18条第1項の規定により交付すべき書面を作成するときは,当該弁済を受けた債 権に係る貸付けの契約を契約番号その他により明示することをもって,同項第1号から第3号まで並びに前項第2号及び第3号に掲げる事項の記載に代えること ができる。」と規定している。この規定のうち,当該弁済を受けた債権に係る貸付けの契約を契約番号その他により明示することをもって,法18条1項1号か ら3号までに掲げる事項の記載に代えることができる旨定めた部分は,他の事項の記載をもって法定事項の一部の記載に代えることを定めたものであるから,内 閣府令に対する法の委任の範囲を逸脱した違法な規定として無効と解すべきである。
(3) 以上と異なる見解に立って,法18条1項2号所定の契約年月日の記載に代えて契約番号が記載された本件各受取証書は,同項所定の事項の記載に欠けるところ はないとした原審の判断には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があり,原判決は破棄を免れない。論旨は理由がある。
第4 同二(3)について
1 原審の判断は,次のとおりである。
貸金業者において法43条1項の規定に基づき取得を容認され得る約定利息の支払を債務者が怠った場合に期限の利益を喪失する旨の合意は,何ら不合理なもの とはいえず,また,債務者が,この合意により,約定利息の支払を強制されることになるということはできないから,上告人Y1のした利息の制限額を超える額 の金銭の支払は,同項にいう「利息として任意に支払った」ものということができる。
2 しかしながら,原審の上記判断は是認することができない。その理由は,次のとおりである。
(1) 法43条1項は,貸金業者が業として行う金銭消費貸借上の利息の契約に基づき,債務者が利息として支払った金銭の額が,利息の制限額を超える場合 において,貸金業者が,貸金業に係る業務規制として定められた法17条1項及び18条1項所定の各要件を具備した各書面を交付する義務を遵守しているとき には,その支払が任意に行われた場合に限って,例外的に,利息制限法1条1項の規定にかかわらず,制限超過部分の支払を有効な利息の債務の弁済とみなす旨 を定めている。貸金業者の業務の適正な運営を確保し,資金需要者等の利益の保護を図ること等を目的として貸金業に対する必要な規制等を定める法の趣旨,目 的(法1条)等にかんがみると,法43条1項の規定の適用要件については,これを厳格に解釈すべきである(最高裁平成14年(受)第912号同16年2月 20日第二小法廷判決・民集58巻2号380頁,最高裁平成15年(オ)第386号,同年(受)第390号同16年2月20日第二小法廷判決・民集58巻 2号475頁参照)。
そうすると,法43条1項にいう「債務者が利息として任意に支払った」とは,債務者が利息の契約に基づく利息の支払に充当されることを認識した上,自己の 自由な意思によってこれを支払ったことをいい,債務者において,その支払った金銭の額が利息の制限額を超えていることあるいは当該超過部分の契約が無効で あることまで認識していることを要しないと解される(最高裁昭和62年(オ)第1531号平成2年1月22日第二小法廷判決・民集44巻1号332頁参 照)けれども,債務者が,事実上にせよ強制を受けて利息の制限額を超える額の金銭の支払をした場合には,制限超過部分を自己の自由な意思によって支払った ものということはできず,法43条1項の規定の適用要件を欠くというべきである。
(2) 本件期限の利益喪失特約がその文言どおりの効力を有するとすると,上告人Y1は,支払期日に制限超過部分を含む約定利息の支払を怠った場合には, 元本についての期限の利益を当然に喪失し,残元本全額及び経過利息を直ちに一括して支払う義務を負うことになる上,残元本全額に対して年29.2%の割合 による遅延損害金を支払うべき義務も負うことになる。このような結果は,上告人Y1に対し,期限の利益を喪失する等の不利益を避けるため,本来は利息制限 法1条1項によって支払義務を負わない制限超過部分の支払を強制することとなるから,同項の趣旨に反し容認することができず,本件期限の利益喪失特約のう ち,上告人Y1が支払期日に制限超過部分の支払を怠った場合に期限の利益を喪失するとする部分は,同項の趣旨に反して無効であり,上告人Y1は,支払期日 に約定の元本及び利息の制限額を支払いさえすれば,制限超過部分の支払を怠ったとしても,期限の利益を喪失することはなく,支払期日に約定の元本又は利息 の制限額の支払を怠った場合に限り,期限の利益を喪失するものと解するのが相当である。
そして,本件期限の利益喪失特約は,法律上は,上記のように一部無効であって,制限超過部分の支払を怠ったとしても期限の利益を喪失することはないけれど も,この特約の存在は,通常,債務者に対し,支払期日に約定の元本と共に制限超過部分を含む約定利息を支払わない限り,期限の利益を喪失し,残元本全額を 直ちに一括して支払い,これに対する遅延損害金を支払うべき義務を負うことになるとの誤解を与え,その結果,このような不利益を回避するために,制限超過 部分を支払うことを債務者に事実上強制することになるものというべきである。
したがって,本件期限の利益喪失特約の下で,債務者が,利息として,利息の制限額を超える額の金銭を支払った場合には,上記のような誤解が生じなかったと いえるような特段の事情のない限り,債務者が自己の自由な意思によって制限超過部分を支払ったものということはできないと解するのが相当である。
そうすると,本件において上記特段の事情の存否につき審理判断することなく,上告人Y1が任意に制限超過部分を支払ったとした原審の判断には,判決に影響 を及ぼすことが明らかな法令の違反があり,原判決は破棄を免れない。論旨は理由がある。
第5 結論
以上のとおりであるから,原判決を破棄し,更に審理を尽くさせるため,本件を原審に差し戻すこととする。
よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 中川了滋 裁判官 滝井繁男 裁判官 津野 修 裁判官 今井 功 裁判官 古田佑紀)

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東京弁護士会所属 弁護士 石渡 一浩